GEのビジネスモデルから何を学ぶか?
GEが新たなビジネスモデルを確立しています。
IoTと一緒に語られる事が多いですが、これはすごい革命ですね。
中小メーカーはこのモデルに早く移行しないと時代に取り残されます。
これははっきりいえます。
いずれ、このモデルに移行できた一部の勝ち組と、それに従う負け組にハッキリと別れますよ。
インダストリアル・インターネットと呼んでいますが、要するにIoTを実用化したものです。
では、GEのビジネスモデル、インダストリアル・インターネットとは何か考えたいと思います。
そして、中小メーカーがモデルチェンジするためにどうしたら良いか考えたいです。
※このコラムはあくまでザックリ理解するものです。厳密な定義はググってください。
GEはもともとジェットエンジンでシェアが高くなかったのです。単純にモノ売りしても勝てないことがわかっていました。
だからこそ、サービスを売ることに変更しました。
それは何か、ジェットエンジンの稼働状況に応じて課金します。
走れば走るほど、儲かるストックビジネスですね。
なぜこれが実現できたか?
それは、同時に「効率的な、長持ちするジェットエンジンの使い方」をサービスとして提供します。
だからこそ、納入先としては「モノだけでなく、無駄なく運用するコト」もセットで購入します。
これにより、今までモノ売りだけであったビジネスモデルからコト売りのビジネスモデルに変えました。
でも、これってそう簡単ではないです。
これが成立する要件は何か?
まず、ジェットエンジンという色々なセンサー情報、複雑な情報が絡み合った製品であることです。しかも、事業の根幹であることです。
複雑だからこそ、効率よく使う方法をお客様は求めています。
事業の根幹となる製品なので、お客様の興味が大きいです。
次に、金銭的な規模が大きいこと。
ジェットエンジンといった業界は1%効率が上がるだけで大きな利益が出ます。
薄利多売ではないので、少しの効率化で大きなメリットが出ます。
次に、様々なセンサー情報を分析して、効率よく、長持ちする使い方を提供できるノウハウがあることです。
自社に技術が必要です。ここに自信がないと、まずできないです。
さらに、製品だけでなく、お客様の事業全体に対して気を配らないといけないです。
最後に、リアルタイムでの対応ができること。
ここでインターネットが出てきます。
センサー情報をリアルタイムで把握し、変化を感じ取ってすぐに対応できる自信があるからこそ、これが出来ます。
それでは、中小メーカーはどうしたら良いか?
BtoBなら意外と出来ます。
例えば、DMやチラシの印刷、発送会社の場合。
発送数に対して課金する従来のモデルから、問い合わせ数に対して課金します。
自社内のノウハウを集結し、お客様の求める反響にコミットします。
発送するリスト、チラシのデザイン、反響までの動線をにノウハウをすべてつぎ込みます。
問い合わせ数に対する課金は少し高くても問題ありません。
過去の平均反響数の平均が自社内で5%なら、お客様の求める反響数×20〜25件のコストを提示します。
これで世界は変わります。
見積もりの際は、問い合わせ数に対するコストを提示します。
シェアポスさんはこのモデルに変わってますね。
例えば工場設備の場合、デマンドコントロールがいい例です。
通常のデマコンは、デマンドが設定値を超えるとピーピー鳴って、担当者が手動で照明か空調を切って対処する、もしくは自動で空調を切るのが関の山ですね。
これを、業界に特化します。空調をいじる形でもいいです。
メーカーとしての事前準備は、業界毎の作業場の温度、事務所温度を把握しておきます。
その上で、デマコンを入れるときにセンサー情報の取得と制御ができるようにします。
ではどうするか?
デマコンを売るのではなく、「従業員の作業環境と省エネの最適なバランス」を売ります。
月一で気温、デマンド、空調設定状況を照らし合わせて次の月の最適なバランスを提供します。
この時、「作業場温度を優先してデマンドが上がりました」は許されません。省エネは当たり前です。
お金はどうするか。
当面はデマコンとセンサーの設備投資だけで良いです。
付帯サービスは無料でしましょう。
そうすると、次第にノウハウがたまります。
溜まったら勝負時です。
空調の設定温度と稼働時間に応じた課金モデルに切り替えます。
3年契約のがベストでしょう。
ベストな稼働状況を提供しつつ、稼働状況に応じて課金する。
3年で回収できるようにします。
例えば、(33-設定温度)×稼働時間×千円。
当初は28度設定で8時間稼働であれば、年間約48万円。3年で150万円です。
しかし、月にしてみれば4万円。それでどれだけのデマンドを下げられるか、自社の能力を考えてください。
さらに、これは設備投資を促せます。
省エネ率の低い空調をいつまでも使っているお客様には設備投資を促せます。
ここでさらに、稼ぎます。
ESCOに似たモデルですが、少し違います。
ESCOは削減したお金で初期投資のお金を回収すること。
GEのモデルは「飛んだマイル数」をお金として回収します。
チラシの例は「問い合わせ数」をお金として回収します。
デマコンの例は「空調の稼働状況(工場の稼働時間)」をお金として回収します。
どこが先にやるか。
個人的には大手ではないほうが面白いです。